旧校舎の書道室には、ひそかに語り継がれる都市伝説があった。「緑のジャージを着たおじさん」が住んでいる——というものだ。書道室に作品を置きっぱなしにすると、夜中にひょっこり現れ、そっと手を加えてくれるらしい。まるで書道界の座敷童。
新校舎に引っ越して1年ちょっと。ふと気づくと、どうやらおじさんも一緒に引っ越してきたようだ。先週、色紙作品を書こうとしたものの、まず墨を擦る時点で失敗。そして昨日、リベンジ。ところが、書いた作品を見て己の未熟さに絶望し、色紙を放置して帰宅。
そして今日、恐る恐る見てみると——あれ? 昨日のへたっぴ色紙が「え、いいじゃん?」な仕上がりに!?
どうやら、新校舎の天井にも、あのおじさんは健在のようだ。
「新しい住み心地はいかがですか?」
おじさんのジャージは昭和チックなデザインで、2本線が入っているヤツらしい。
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