高校生の頃からお世話になっていた先生によく「そくひつだ」と注意された。私は「※側筆」だと思って、「いつも筆は立てて書いているけどなあ」と疑問だった。しかし、何年も経ってからようやく気がついた。「そくひつ」とは「側筆」ではなく「速筆」、つまり書くのが速すぎると注意されていたのだと。
もともと堪え性がなく短気な私は驚くほどの速さで書く。かつては6クラス分の卒業証書を一晩で仕上げたこともある。しかし最近は、賞状を書く際に筆を硯に引っかけて用紙に墨を飛ばしたり、画がくっついたりと、信じられないミスをすることが増えた。そこで、さすがに少しは落ち着こうと意識し、ゆっくり書くようにしている。
少し大人になったかな。……と思った矢先、仕上げたばかりの賞状の上に、袖がスーッと滑り込んだ。そう、乾く前に触ってしまったのだ。どうやら、落ち着いても別の問題はついてくるらしい。
※側筆(そくひつ)とは、書画において筆を傾けて穂の側面を用いて書く用筆法。これは基本的に書の線としては悪い線と言う人もいる。
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