▲蜀素帖「呉江垂紅亭の作」
◇原文
断雲一片洞庭帆 断雲一片洞庭(どうてい)の帆(はん)
玉破鱸魚金破柑 玉(ぎょく)は鱸魚(ろぎょ)を破(やぶ)り金は柑(かん)を破る
好作新詩継桑薴 好(よ)し新詩(しんし)を作りて桑薴(そうちょ)を継ぎ
垂虹秋色満東南 垂虹(すいこう)の秋色 東南に満つ
泛泛五湖霜気清 泛泛(はんはん)たる五湖 霜気(そうき)清く
漫漫不弁水天形 漫漫として弁ぜず水天の形
何須織女支機石 何ぞ須(もち)いん織女の支機石(しきせき)
且戯常娥称客星 且(いさ)さか常娥(じょうが)に戯れて客星(かくせい)と称せん
時為湖州之行 時に湖州の行を為す
◇通釈(あきた弁ばーじょん)
洞庭湖さある 白い帆みでった ちぎれだ雲
鱸魚(すずき)の刺身だば 玉を割ったみでったども、柑は金割ったみでったぐきれーだ
へば、あだらしく詩つぐったら 機織りの仕事続けるべ
この垂虹亭さは 江南の秋が えっぺあるど
ぱんぱんじぐ 水ある五胡さ、霜の降るみでったぐ さび〜
へっへど ひれー水だば、空ど区別でげね
なして よんだべ、織女の機織りさ 使ったって言われでらった支機石が
しばらぐ天の川で嫦娥(月)と遊んでで客星って言うべ
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