2020年11月20日金曜日

蜀素帖釈文研究


▲蜀素帖「呉江垂紅亭の作」

◇原文

断雲一片洞庭帆  断雲一片洞庭(どうてい)の帆(はん)

玉破鱸魚金破柑  玉(ぎょく)は鱸魚(ろぎょ)を破(やぶ)り金は柑(かん)を破る

好作新詩継桑薴  好(よ)し新詩(しんし)を作りて桑薴(そうちょ)を継ぎ

垂虹秋色満東南  垂虹(すいこう)の秋色 東南に満つ

泛泛五湖霜気清  泛泛(はんはん)たる五湖 霜気(そうき)清く

漫漫不弁水天形  漫漫として弁ぜず水天の形

何須織女支機石  何ぞ須(もち)いん織女の支機石(しきせき)

且戯常娥称客星  且(いさ)さか常じょうが)に戯れて客星(かくせい)と称せん

時為湖州之行   時に湖州の行を為す


◇通釈(あきた弁ばーじょん)

洞庭湖さある 白い帆みでった ちぎれだ雲

鱸魚(すずき)の刺身だば 玉を割ったみでったども、柑は金割ったみでったぐきれーだ

へば、あだらしく詩つぐったら 機織りの仕事続けるべ

この垂虹亭さは 江南の秋が えっぺあるど

ぱんぱんじぐ 水ある五胡さ、霜の降るみでったぐ さび〜

へっへど ひれー水だば、空ど区別でげね

なして よんだべ、織女の機織りさ 使ったって言われでらった支機石が

しばらぐ天の川で嫦娥(月)と遊んでで客星って言うべ


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