2026年2月24日火曜日

 この羅漢の表情は、どこか人間くさく、そして深い。隣に寄り、声を潜めて交わす言葉は、きっと大声では語れない真実なのだろう。



2026年2月23日月曜日

山へ

 道だけが先を知っているように、山へと伸びていく。

街も並木も、まだ息を潜めたまま。

まだ走り出さない朝。



2026年2月22日日曜日

 卒業式の玄関前に掲げる立て看板を書きました。テーマは「大人の装い」。いつものワイルドさは封印し、あえてしれっとした表情でまとめています。

 ワープロ全盛の時代、自前で毛筆による卒業式の立て看板を掲げられる学校は、県内では数えるほど。だからこそ、この一枚はささやかな誇りであり、貴重な存在でもあります。



2026年2月21日土曜日

 朝の冷え込みが厳しく、木々は霧氷をまとっていた。空は静まり、山は淡く遠くに立つ。音のない雪原に一本の木だけが立ち、凍った時間をそっと抱えているようだった。

 寒さの中で出会った、静かな朝の記憶。



ゴースト

 今日の写活。

ヘリオス越しに差し込む光と、やわらかくほどけるゴースト。花を撮ったというより、光の記憶を写した一枚。



2026年2月18日水曜日

わちゃわちゃ

  私の字は“わちゃわちゃじい”ので、どうしても全体が少し賑やかになる。だから、これまでは細身にまとめることが多かった。しかし秀作美術展への出品にあたり、私にしては重量感を前面に出してみようと心がけた。全体が重くなりすぎないように、やや淡い墨で長い縦画をすっと伸ばしそこに呼吸をつくる。

 半切1/2の額に上から下まで使い切りたくて、紙はぎりぎりで裁ちほぼ半切3/4ほどの伸びやかな比率に。印は竹根。鋭さで全体を引き締めた。

重さと抜け。

密と余白。

 自分の癖に抗いながら、今の自分にできる最善を探った一枚である。



2026年2月17日火曜日

猫の毛

  「猫の毛でできた筆」と聞くと、「えっ」と思われるかもしれない。しかし、書道の世界では猫毛の筆はわりとポピュラーで、とくに小筆ではよく使われている。猫の毛でできた筆を「玉(たま)」という。茶色の毛なら「赤玉」、白い毛なら「白玉」である。以前、「これくらい長い玉は珍しいですよ」と勧められ、小筆ではない“長い玉”を手に入れた。貴重な筆を所有していることに、かすかな誇らしさもあった。

 書いた字は「さわれば血が出る」ような切れる線で書きたいと思っている。穂先がピンと立った玉は、その線を生むのにもってこいだ。以来、その筆を愛用してきた。なにしろ貴重、貴重だからだ。ある日、先生の筆巻きを見せてもらった。そこにも、同じ玉がいた。線はやはり筆を選ぶのだ。