2026年7月31日金曜日

厳しい二日間

  厳しい二日間でした。高校総合文化祭の賞状筆耕を担当しました。最近、つまらないミスが多いので、なおさら緊迫した二日間となりました。

 賞状への記名は簡単にできると思われがちですが、大臣賞などの賞状は、おそらく悪用防止のためでしょう、予備がありません。しかも今回は、初めて目にするような学校名や、「県立」でありながら正式名称には「県立」が入らない学校など、なかなかの強敵も出現。さらに、文字の大きさにも細かな指示があり、それらを確認しながら一枚一枚筆を進めました。

 「間違えたら書き直せばいい」が通用しない筆耕。筆を持つ手以上に、神経を使った二日間でした。そして――なんとか一枚も間違えることなく、無事に書き終えました。いやあ、疲れた。でも、終わった。この安堵感は格別です。



2026年7月30日木曜日

これ、私が書いた字だ

  思わず手に取り、その手拭いをそのまま購入してしまいました。

 書かれているのは、池田家第11代当主・池田文八郎の言葉。旧池田氏庭園にちなみ、以前、私が揮毫したものです。左下には、ちゃんと「揮毫 竹村天祐」の文字もありました。池田家は「東北の三代地主」と言われ、地域の発展に多大な貢献をしてきました。

 自分が書いたものが、こうして今も庭園の一品として置かれ、訪れた方々の手に渡っている。書いた時には想像もしなかったことです。旧池田氏庭園で、思いがけず昔の自分の「書」と再会しました。もちろん、記念に一枚。自分の書いた手拭いを、自分で買って帰りました。1枚500円です。記念にいかがでしょう。



2026年7月29日水曜日

貧交行

  私が教員として最初に赴任した学校の校舎を受け継ぐ学び舎に、今年、兼務で再び勤めることとなりました。教員として歩み始めてから、四十年近い歳月を経ての再訪です。校舎はリフォームされ、当時とは少し姿を変えていますが、そこに身を置くと、若かった頃の記憶が自然とよみがえります。教員人生の原点となった場所へ、長い年月を経て再び戻ってきたことに、言葉では言い表しがたい不思議なご縁を感じています。このたび、そのご縁への感謝を込めて、学校へ作品を寄贈させていただきました。

 題材としたのは、杜甫の『貧交行』です。立場や境遇が変わっても変わらない友情の尊さを詠んだこの詩に共感し、この学び舎で育まれた友情が、卒業後も末永く続いてほしいという願いを込めています。



2026年7月28日火曜日

ご縁に恵まれているなあと感じます

 ご縁に恵まれているなあと感じます。

 近所の自動車整備会社で工場長をしているのは同級生。車のトラブルのときにはいつもお世話になっています。先日は、自動車ではないのに草刈機の調子が悪くなり、トラックで引き取りに来てくれて、面倒を見てもらいました。困ったときに「ちょっと見てくれる?」と気軽に頼める人が近くにいてくれることは、本当にありがたいことです。

 せっかく長く書道を続けてきたのだから、自分にできることでお礼を伝えたい。そんな思いから、ささやかですが作品を寄贈させていただきました。若い頃は、展覧会に出品するために書いていました。気合いを入れて筆を持っても、無心に書くだけでした。けれど、この歳になって、自分の書いたものが誰かへの感謝を伝えるものになったり、どこかの片隅で誰かの目に留まったりするのであれば、それもまた書を続けてきた意味の一つなのかもしれません。

 人に恵まれて生きていることに感謝です。



2026年7月27日月曜日

花あかり

 【写と書の美のり展作品紹介 写真⑩】花あかり 椿

 白い椿を逆光で捉え、オールドレンズでの虹色のフレアを生かして撮影しました。光に包まれた空気感と、自然の息づかいが伝わるよう表現しています。



2026年7月26日日曜日

おばこの花

 【写と書の美のり展作品紹介 書道⑩】おばこの花(ドンパン節) 半切1/2

 いつ来ても井戸端きれいに咲くのはあやめ 秋田のおばこによく似てる かわいい花だよ 皆おいで

 秋田の民謡「ドンパン節」の一節を題材としました。整いすぎた美しさではなく、素朴で飾らない筆致によって、秋田のおばこの親しみやすさと温かさを表現しました。



2026年7月25日土曜日

花信

 【写と書の美のり展作品紹介 写真⓽】花信 カランセ

 白いカランセを、蕾の連なりまで意識して撮影しました。斜めに伸びる花茎の流れを生かし、生命のリズムと清楚な空気感を表現しています。



2026年7月24日金曜日

花の山

 【写と書の美のり展作品紹介 書道⑨】 花の山

石井露月の句 半切1/2

團子喰えば犬ほゆるなり花の山

石井露月の句を、連綿を特化した調和体で表現しました。花見の賑わいと人々の暮らしの温もりが感じられる一句です。



2026年7月23日木曜日

寿

 このたび、樺細工の色紙掛けと一緒に「寿」の作品を寄贈させていただきました。

 日頃お世話になっている方々への、ささやかなお礼の気持ちです。私にできることといえば書道作品を書くことくらいですので、それを形にしてみました。

 振り返れば、人生の多くの時間を書道とともに過ごしてきました。展覧会に出品するために書き続けてきたというのが、本当のところかもしれません。作品を書くときは、ただ気合いを入れて、無心で筆を運んでいます。せっかく人生をかけて取り組んできた書道です。手元に残すだけでなく、多くの方に見ていただき、その作品が誰かの何かになれば、こんなに嬉しいことはありません。

 それが、私なりの人生の証なのだと思っています。



2026年7月22日水曜日

秘花

 【写と書の美のり展作品紹介 写真⑧】秘花 リカステ

 深い紅紫色のリカステを、背景を落として浮かび上がるように撮影しました。やわらかな光と陰影により、花の秘めた気配と気品を表現しています。



2026年7月21日火曜日

一陽来復

 【写と書の美のり展作品紹介 書道⑧】 一陽来復 半紙

 紙面いっぱいに落書を配置し、文字の造形が生み出す面白さを追求しました。中央の朱印をアクセントとして、新たな春を迎える喜びを表現しています。



2026年7月20日月曜日

 【写と書の美のり展作品紹介 写真⑦】 香花 カトレア

 やわらかな逆光の中で咲くカトレアを撮影しました。背景を大きくぼかし、鮮やかな唇弁と温室でふと出会ったような空気感を表現しています。


2026年7月19日日曜日

花影

 【写と書の美のり展作品紹介 書道⑦】花影 半紙

 王鐸の行書をイメージし、細い線を駆使して表現しました。線の強弱や墨の濃淡によって、花の姿そのものではなく、ふと心に残る花の面影を描いています。

光があるからこそ生まれる影。風に揺れる花の影は、ひとときの美しさを私たちの心に映し出します。その儚さと静かな余韻を感じていただければ幸いです。



白毬

 【写と書の美のり展作品紹介 写真⑥】 白毬 ネオベンサミア

 白い小花が毬のように集まり、静かな光をまとって咲くネオベンサミアを撮影しました。やわらかなぼけを生かし、花の立体感と静謐な空気感を表現しています。



2026年7月18日土曜日

昇華

 【写と書の美のり展作品紹介 書道⑥】昇華

「咲き誇れ 風雪越えてなお高く」

顔真卿の行書を意識し、力強く伸びやかな線で表現しました。風雪を越えてなお高みを目指す、生命の力と成長への願いを込めています。



2026年7月17日金曜日

白の余韻

 【写と書の美のり展作品紹介 写真⑤】 白の余韻(スイセイラン)

 白い花弁に浮かぶ紫の斑点と、やわらかな光に惹かれて撮影しました。背景をぼかし、花の繊細な表情と凛とした空気感を表現しています。



2026年7月15日水曜日

花の憂ひ

 【写と書の美のり展作品紹介 書道⑤】 花の憂ひ(小野小町の和歌) 半切

「花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに」

 平安朝の仮名書の優美な表現を意識し、仮名を生かした調和体で制作しました。花の色の移ろいに自身の姿を重ねた、小野小町の繊細な心情を表現しています。



2026年7月14日火曜日

無事終了

 「写と書の美のり展」は昨日をもちまして、無事に会期を終えることができました。

 ご来場くださった皆様、SNSをご覧くださった皆様、そして開催にあたりご協力くださった皆様に、心より感謝申し上げます。今年初めて本格的に写真に取り組み、書と写真を組み合わせた展示という新しい挑戦でした。不安もありましたが、多くの温かいご感想や励ましのお言葉をいただき、大きな力となりました。この展覧会で得た学びや出会いを大切にしながら、これからも「写」と「書」、それぞれの表現を深めてまいります。

 本当にありがとうございました。



2026年7月12日日曜日

静かな灯

 【写と書の美のり展作品紹介 写真④】 静かな灯(金花茶)

  やわらかな前ボケを生かし、静かな光に浮かぶ金花茶を撮影しました。控えめで上品な花姿と、温室の穏やかな空気感を表現しています。



2026年7月11日土曜日

破天荒

 【秋田の書展】出品作品 「破天荒」

多聞闕疑

「秋田の書展」出品作品です。「多聞闕疑」とは『論語』の「多くの情報を集めても、疑わしいことは慎重に見極める姿勢が大切」だと教えています。

 その思いを表現するため、作品は新聞紙風包装紙を素材として制作しました。私たちは多くの出来事を新聞から知ります。ただし、実際の新聞では記事を読んでしまい、文字そのものに視線が向かいにくくなります。そこで、あえて読みにくい外国語の新聞紙風包装紙を用い、情報の存在を感じさせながらも、作品の主役である「破天荒」の文字に集中できるよう工夫しました。

 文字の意味だけでなく、素材そのものにも作品の思想を込めた一作です。

◇秋田の書展 令和8年7月11日(土)〜13日(月) 秋田市:アトリオン3階



菊を摘む

 【写と書の美のり展作品紹介 書道④】 菊を摘む 半切

「採菊東籬下 悠然見南山 菊の香にふと顔をあげれば南の山はもう夕色だった」

 大字と細字の調和によって、詩の広がりを表現しました。自然の中に生きる陶淵明の穏やかな心を感じていただければ幸いです。



2026年7月10日金曜日

春灯

 【写と書の美のり展作品紹介 写真③】春灯 レリオカトレア

 鮮やかな色彩と絡み合う花弁の線に惹かれ、枯れゆく美しさを捉えました。背景をぼかし、花の生命の余韻が静かに伝わるよう表現しています。



2026年7月9日木曜日

蘭の香

 【写と書の美のり展作品紹介 書道③】 蘭の香(半切1/2)

芝蘭之室 善き人と共にいれば芝蘭の部屋に入ったように自然と香りが身につく

 中央の「芝蘭之室」を隷書で大きく表現し、両脇に孔子家語の言葉を配しました。良き人と共に生きることで、自らも磨かれていくという教えを書きました。



2026年7月8日水曜日

残り火

 【写と書の美のり展作品紹介 写真②】残り火

ションバーギア グラキリス

 柔らかな光に包まれた淡黄の花を主題に、前後をぼかして奥行きを表現しました。静かに浮かび上がる一輪から、春のぬくもりとやさしい息づかいを感じていただければ幸いです。



2026年7月7日火曜日

咲き急ぐ

 【写と書の美のり展作品紹介 書道②】 咲き急ぐ

 「花の命は短くて 苦しきことのみ多かりき」

 平安朝の古典仮名を手本とし、流麗で優雅な線を意識して表現しました。言葉の持つ儚さと余情が伝わる用に制作しました。

花のいの(能)ちは(八)み(身)し(新)か(可)くて(伝)く(具)る(流)しき(起)ことの(能)み(三)多か(可)りき(支)



2026年7月6日月曜日

花明かり

 【写と書の美のり展作品紹介 写真①】 花明かり 椿

 柔らかな逆光の中で、一輪の椿が静かに浮かび上がる瞬間を捉えました。背景を大きくぼかすことで、花の持つぬくもりや気配を引き立てています。



2026年7月5日日曜日

花筏

 【写と書の美のり展作品紹介 書道①】花筏 八つ切り

「船頭の唄やゆらゆら花筏」

 大曲高校の卒業生で、俳句に取り組んでいる先輩の入選句を題材にした作品です。

「ゆらゆら」という言葉から発想を広げ、行の流れに変化をつけることで、花筏が春の川面をゆったりと漂う情景を表現しました。



2026年7月4日土曜日

響く空間

  今年の初めから写真の魅力に惹かれ、日々カメラを手に作品づくりに取り組んできました。本展では、洋ランフェスティバルで撮影した写真と、「花」をテーマに制作した書道作品を展示しています。言葉と写真、それぞれの表現が響き合う空間を目指した作品展です。



2026年7月2日木曜日

 秋田県美術展覧会(県展)が終わりました。

 今年から書道部門の運営委員を務めることとなり、審査・運営に携わる立場となったため作品は賛助出品です。
 出品作の題は「新火」。運営委員として展覧会を支えながら、一人の書人としても学び続けていきたいと思います。



2026年7月1日水曜日

公開中

  昨日より「写と書の美のり展」が始まりました。会場へお越しくださった皆様、ありがとうございました。

 今回の展示では、秋田県立農業科学館「洋ランフェスティバル」で撮影した花の写真と、「花」をテーマにした詩文や俳句などを揮毫した書作品を並べています。

 写真と書、それぞれ異なる表現ですが、互いに響き合い、花の美しさや言葉の余韻を感じていただければ幸いです。

 会期中、お近くへお越しの際は、ぜひお気軽にお立ち寄りください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。