2025年3月6日木曜日

卒業の証を包むもの

 大曲高校同窓会青麻会から卒業生へ贈る記念品は、特別な卒業証書ホルダー。二つ折りの仕様ながら、マチがあるため折り目をつけずに収納できる工夫が施されている。


卒業証書は、本文も記名も、そしてそれを包む表紙に輝く金文字も――それを記したのは、大曲高校の卒業生である私。
母校への誇りと、旅立つ後輩たちへの祝福の想いを込めて、一筆一筆、心を尽くした。

卒業という大切な節目に、自分が身につけた技術で関わることができる幸せを、改めて感じる。学び、積み重ねてきたものが、こうして形となり、後輩たちの門出を彩ることができるのは、この上ない喜びだ。このホルダーが、卒業証書とともに、それぞれの未来へと続く大切な証となることを願っている。






2025年3月3日月曜日

復活の歌声――伝統が息を吹き返す瞬間

卒業式の終幕にふさわしい、あの歌声が帰ってきた。

途切れた伝統が、ついに蘇ったのだ。


50年、いや、それ以上の歳月を超えて受け継がれてきた旋律。卒業式の最後を飾る「卒業の歌」。その歌は、幾世代もの卒業生たちの旅立ちを見送ってきた。しかし、コロナ禍がもたらした沈黙が、その響きを奪った。制限された出席者、縮小された式典、そして封じられた歌声――あの時、校歌は音を失った。


だが今年、ついにその沈黙が破られた。

50年前から同じ曲、同じ曲順、同じ楽譜。響き渡るハーモニーは、ただの歌ではない。これは、母校の誇りであり、卒業生の決意であり、50年を超えて受け継がれる魂そのものだ。


高校数あれど、卒業式に校歌を混声四部合唱で歌える学校がどれほどあるだろうか。

それができるのが、この学校なのだ。


歌声が天井を突き抜け、式場に広がる。

その瞬間、時代を超えてつながる想いが、ひとつになった。







2025年3月2日日曜日

魂の返事

 大曲高校は3月1日、卒業式を挙行した。厳かな空気の中、卒業生が名を呼ばれるたびに、一つひとつの返事が響く。だがその瞬間、式場の空気が一変した。


 突き抜けるような、気迫あふれる声――。それは、ただの返事ではなかった。魂を込めた一声が、会場を震わせた。発したのは、書道部の3年生10名。鍛え抜かれた筆が生み出す力強い線のごとく、彼女たちの声は揺るぎなく、凛としていた。その響きは天井を突き抜け、心の奥に刻まれた。まるで筆が紙に命を刻むように。彼女たちは「いつも通りですけど」と平然と答えた。


 「素晴らしい返事」――そんな陳腐な言葉では収まらない。それは、彼女たちの三年間の軌跡そのもの。筆を持ち、挑み続けた日々のすべてが、一声に凝縮されていた。会場中の心を打ち震わせた、あの返事。彼女たちの高校生活は、まさに部活動と共にあった。そして、その魂のこもった一声が、未来へと羽ばたく彼女たちの門出を鮮やかに彩った。