2025年3月16日日曜日

筆に託す想い

書道部の稽古は、何も展覧会へ出品する作品を仕上げることだけではない。卒業式、私たちは運動部が練習試合を重ねるように、校内に掲示するさまざまな書を手がけた。


保護者控室や来賓控室のお祝い、先輩方への感謝の言葉――これらはすべて、筆を執り一文字一文字を部員全員で担当し想いを込めてしたためた。さらには、市道に面した書道室の窓にも、通りゆく人々へ向けたメッセージを掲げた。


もちろん、先輩への感謝を込めた作品の出来栄えも重要である。しかし、それと同時に、自らの書を冷静に見つめ、客観的にその筆致を省みることもまた書の修練には欠かせない。


校内での案内掲示はすべて私の筆によるものである。人の手によって生み出された文字には、機械には決して生み出せない力が宿る。そこに息づく温もりと想いこそが、書をただの文字から、心を伝えるものへと昇華させるのだ。










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