2020年5月20日水曜日

竹村天祐書作展「高橋馨歌曲選集を書く」

高橋馨先生

昨年12月、作曲家であり長年大曲高校で音楽をご指導された高橋馨先生が亡くなりました。そして、今年2月大曲高校吹奏楽部OBを中心にして「高橋馨先生とのお別れの会」が開かれ、多くの卒業生が集まりました。私は昭和52年に大曲高校に入学し、吹奏楽部と書道部に入りました。その時、馨先生には大変お世話になりました。
「お別れの会」では音楽関係者が多かったので、先生の作品の演奏もありました。それを聴きながら先生がなぜ北原白秋の詩を選び、曲をつけようと思ったのか。先生が感じた白秋の詩の魅力を見てみたいと思いました。そこで、以前馨先生が出版された「高橋馨歌曲選集」の歌詞を書くことにしました。

▲屋外看板



大きい紙に書く

 会場のブランカでは何度か作品展示をしています。以前からここのベージュの壁一面に作品を書いてみたいと思っておりました。そこで、今回は大きい紙にへっへど「壁画」のように書きました。紙の大きさはと1.5m×61.5m×2.5mの2枚です。紙は書道パフォーマンスで使用する50mのロール紙を切って使いました。

 1.5m×6mの作品は大字の「風」と「開」を中心に据え、その周りに中字と細字の3種類の字を配置しました。行の長さに変化を持たせ、右から左へと流れを意識し絵巻物のように仕上げました。
1.5m×2.5mの作品は行の長さと行間を統一し、あえて文節の区切れで行を作らず文字の大小をバランスよく配置し統一感をだしました。文字の形は平安時代の流麗な仮名をベースにしてそれに現代的なエッセンスを加えモダンクラシックにしました。





北原白秋による四つの歌」より
「牡丹」
ほんにのう 薄情な牡丹が散りかかる
風もない日にのう
あかい牡丹がのうもし 散りかかる
聞きつくした二人の仲か
雨も降らいで
のうもし 散りかかる
片恋
曳船の 水のほとりをゆくころを
やわらかな 君が吐息の散るぞえな


▲大曲高校書道部から送られた花


▲「風」のバリエーション


「片恋」
曳船の 水のほとりをゆくころを
やわらかな 君が吐息の散るぞえな




▲「風」のバリエーション


もっと勉強した方がいい

書道作品では同じ文字は同じ字形では書かないで、変化を付けるため字形を変えて書くことが一般的です。同じ文字を変化させて書くには、それ相当の経験が必要で難易度も高くなります。そのため、作品にする詩文を選ぶ時には、なるべく同じ文字があまり重複しないように選ぶことが多いようです。しかし、日本語の特性上「の」「は」「に」などの助詞は、詩文の中には何回か出てくることがあります。
北原白秋のこの詩には「散りかかる」が3回出てきます。また、「か(が)」が9回、「の」が5回使われています。この書き換えができると、作品としては多彩な表現になります。しかし、今回はそれに挑戦しましたが、どうしても似通った表現になり力不足は否めません。馨先生が「ん~、もう少し勉強した方がいいなぁ」とおっしゃっているようでした。

吹奏楽部と私

 中学校で吹奏楽部に入部し、高校では吹奏楽部と書道部に入りました。大東文化大学でも書道と取り組みつつ吹奏楽団で演奏していました。担当はトランペットです。大学では4年生の時には学生指揮とドラムメジャーをしました。昭和58年東京ディズニーランドのグランドオープンでパレードをしました。

このようにして書きました

廊下に2枚の紙を広げて書きました。筆は大字用・中字用・細字用と3本の筆を使いました。中心となる「風」「開」は大字用筆を2本持って書きました。

▲大きい筆を2本持って

▲横が6m



2020年5月11日月曜日

竹村天祐書作展「梵天唄を書く」

竹村天祐書作展

梵天唄を書く


書道作品の素材を地元に求め、今回は「大曲」をテーマとしました。昨日まで大曲高校書道部の作品展示でしたが、今日展示替えで自分たちの作品を搬出し私の作品を貼ってくれました。場所はJR大曲駅ハミングロード展示棚です。

 梵天唄の歌詞と、大曲中学校の今年の厄払いの学年ネーム「新樹」も書いています。



▲梵天唄を書く

 旧仙北町にある旧池田氏庭園。そこの11代池田文八郎の言葉を木簡風に書いています。



▲池田文八郎のことばを書く


 大曲といえば花火。そこで北原白秋の花火の詩を書きました。漢字、平仮名、カタカナ、英語とさまざまな文字の共演を、用紙を分割する技で独立するも一体感を待たせた表現にしました。



▲北原白秋の詩を書く

これで書きました

竹村天祐書作展「梵天唄を書く」で使いました。

▲大字用、中字用、細字用の筆と墨液


▲自分で書いたひらがな字典

▲広い場所で書きました。

▲紙を並べて一気に制作

▲あらかじめ切った紙で。