2025年5月31日土曜日

お手本は書く派

 さまざまな考え方があるとは思いますが、私は「お手本は書く派」です。大曲高校芸術科の書道Ⅰ「楷書の学習」で登場するのは、書の世界のスーパースターたち。孔子廟堂碑、九成宮醴泉銘、雁塔聖教序、顔氏家廟碑。“唐の四大家”が残した名だたる傑作群です。

 その中から自分の「推し」を選んで、連続する2文字をピックアップして臨書。ここで大事なのが、“自分で選ぶ”ということ。与えられたものではなく、自分の目で「これだ」と見つける。だからこそ、「ちゃんと見る」。だから、観察力が育つんです。

 高校入学後、初めて臨書に取り組む生徒たちは、戸惑うことも少なくありません。だから私は、毎回お手本を書きます。もちろん、生徒たちの学習を支援するため。でも、どちらかといえば自分の稽古のためです。臨書のたびに新たな発見があり、己の不勉強を恥じるばかり。書いて、学んで、また書く。筆を持つたび、時代と向き合い、自分とも向き合っています。

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2025年5月27日火曜日

書道室の配線革命

  書道室には大型モニターがあり、iPadやクロムブックの画面をみんなで映して見ています。でも、そのたびにHDMIをつなぎ直すのが面倒。しかも、ケーブルの端子もちょっとくたびれてきた感じ。そこで、ア○ゾンでHDMI切り替え器を購入!しかし、届いてみると「切り替え器までのケーブル」が別途必要という事実に気づきました。仕方なく100均の店で300円もする高級品のケーブルを調達。ただ、一番短くて1.5mでしかも2本なので、机の上がケーブルだらけに。

 やっぱり気になって、結局ア○ゾンで30cmのケーブル(しかも2本セット!)を追加購入しました。これでスッキリ。快適な配線環境に、小さな工夫が大きなストレス軽減につながりますね。


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2025年5月24日土曜日

背景『オレだ』文字『いやワタシ!』書道部の静かなる戦い

 こちら「書道部FM・筆と音の交差点」から、イベント情報をお届けします。

「第51回 大曲高校吹奏楽部 定期演奏会」

日時:5月25日(日)13:30開演(13:00開場)、場所:大仙市大曲市民会館 大ホール


 書道部がエントランスにて歓迎の書を展示中!背景には“音の波”、文字には“歓びの響き”を込めたはず……だったのですが。

背景「ド派手にいくぜ!」

文字「こっちも負けねぇ!」

 結果、まさかの芸術的フルバトル勃発。協調性、ただいま特訓中。次回は“静と動のシンフォニー”、ぜひご期待ください♪

#大曲高校吹奏楽部 #定期演奏会 #書道部も参戦 #背景と文字がバトル中 #エントランスに注目 #書と音の共演 #芸術ってむずかしい #でも青春って楽しい #見に来てね #大仙市民会館



2025年5月21日水曜日

静けさの中で、記憶が揺れる。

 JR大曲駅にて開催中の《竹村天祐書作展 書の歳時記》、二作目《緑雨》。田を潤す、しっとりと優しい雨。その一滴一滴に、かすかな記憶が宿っているようでした。紙面には、色を重ね、露のきらめきを散らしました。音もなく降る雨が、心の奥をそっと叩く。そんな感覚を、書で表現しています。目には見えない「気配」や「静けさ」を、作品から感じ取っていただけたら幸いです。

 展示は6月1日まで。JR大曲駅ハミングロードにて。《田の神の風》とともに、季節を描いた二部作。ぜひ2作品あわせてご覧ください。JR大曲駅 ハミングロード


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2025年5月20日火曜日

季節のうつろいを

 JR大曲駅ハミングロードの展示棚にて巨大作品を展示して、《竹村天祐書作展 書の歳時記》を開催しております。この時期を思い浮かべると、「田植え」と「梅雨」が心に浮かびました。田に水が入り苗が植えられて一陣の風が吹き、一部の苗が順番にそよぐ。それはまるで、見えぬ神が田を渡っていくようでもあります。そして、水田にしとしとと雨が。

 一作目は、その思いを込めた《田の神の風》。「神去り風」と大書し、水面をなでて渡る風を、紙面いっぱいに水紋とともに描いています。見えない気配、移ろう気象、そして祈りのような沈黙を、書に込めました。

 二作目は、しっとりと降る命の雨を詠んだ《緑雨》。スプレーを重ね色の中に大粒の露を散らし、葉を濡らすしずくに空の記憶を映しました。展示は6月1日まで。お近くにお立ち寄りの際は、ぜひ足を止めてご覧いただければ幸いです。

 田と雨、風と露――季節が静かに語る言葉を、書で感じていただければと思います。


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2025年5月18日日曜日

ところがどっこい

  テスト前で部活動お休み中に、大きな作品制作の依頼が舞い込んだ。「じゃあ、私がやるか」と引き受けたはいいものの、まず紙をつなぐ段階でつまずく。同じ大きさに切ったつもりが、なぜかズレる。重ねると歪む。しかも、厚くて重い紙は、手首痛とテニス肘持ちの身にはじわじわ効いてくる。……あっという間に汗だく。ここまでの準備だけで、かなりの時間がかかっていた。

 次に背景にはスプレーでぼかしを入れ、ハケで風紋を描く。これらはすぐに終わった。むしろ、書くのは一瞬だった。問題はその準備と片付け。絵具を洗って、筆を干して、バケツやスプレーを片づけて……終わらない。気づけば、何時間も経っていた。

 結局いちばん時間がかかったのは、書く前の「やる気を出す」工程だった。




2025年5月17日土曜日

初めて筆を持ったあの日から

  書道塾に通ったことがなくても、筆を握ってみたい。そんな思いだけで書道部の門を叩いた高校生たちがいます。しかし、秋田県では書道を専門とする先生がとても少なく、初めて臨書に取り組む生徒たちがどう進めればよいか分からず立ち止まってしまうこともあります。

 だからこそ、今回、他校の生徒たちから依頼があったので、席書大会の参考手本を書きました。2年生の課題は《風信帖》の一通目と二通目。文字数の少ない古典なので各校が同じ箇所を書かないよう配慮しつつ、表現効果の上がる箇所を選びました。そして、特に初学者の1年生には、筆の運びやすさと達成感を重視して、取り組みやすい部分を選んでいます。

 情けは人の為ならず。先生から自分が受けてきたご恩は、自分のところで止めず次に回していく。そうやって、書の灯が静かに、確かに、受け継がれていくのだと思います。


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2025年5月16日金曜日

旧校舎が跡形もなくなってしまった

 旧校舎が跡形もなくなってしまった。

かつて、ここには1200人もの若人が切磋琢磨しながら、それぞれの生きる道へと巣立っていった。

新校舎に引っ越しして、旧校舎は跡形もなくなってしまった。

校庭の隅にあった桜も、放課後のざわめきを吸い込んだ廊下も、朝焼けを映したガラス窓も、いまはもうどこにもない。笑い声も、涙も、すべて風の中へ消えていった。私たちは、もうあの校舎には戻れないけれど、あの時間は、確かにそこにあった。たしかに、ここに、生きていた。夢を語り、悩み、もがきながら、明日を信じて歩いていた。それは、もう戻らない風景だけれど、私たちの心の中で、今も静かに灯り続けている。

#竹村天祐 #大曲高校 #青麻会



2025年5月15日木曜日

筆が届いた

 筆が届いた。

芸術科書道を選択している生徒用に名入れをお願いしていた筆が届いた。早速、授業で生徒に配布した。自分の手元に届いた途端珍しいものでも見るように、じっと自分の名前が刻まれた筆を見つめていた。


芸術の最終目標は自らの創意工夫による表現。「私たちはこの世にない作品をこれから作り出すんだ」と。その言葉に生徒たちはまるで自分の手の中に、まだ見ぬ何かの種が宿ったような顔をしていた。名入りの筆は道具であると同時に、創造の責任と可能性を預けられた相棒。これからその筆先でまだ誰も見たことのない文字と景色を描いていく。そんな予感が、静かに教室を満たしていた。

#書道パフォーマンス #書道部の団体戦 #竹村天祐 #大曲高校 #大曲高校書道部 #青麻会 #大東文化大学



2025年5月13日火曜日

アオハル書道! #3

このたび、秋田魁新報社が私たち大曲高校書道部に一年間密着し、その活動の様子を連載記事としてご紹介くださることになりました。そして一昨日、3回目の記事が紙面に掲載されました。今回取り上げていただいたのは「甲子園を狙い演技に熱」。書道パフォーマンス甲子園予選ブロックに挑む様子が記録されています。


秋田魁新報電子版

https://www.sakigake.jp/news/article/20250511AK0018/


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2025年5月11日日曜日

1年生の成長

本日、大曲高校では文化部芸術祭が開催され、オープニングを飾るのは、吹奏楽部の演奏とともに披露された書道パフォーマンスでした。


筆が走るたび、会場の空気が震える。

音と書が呼応し合い、紙の向こうに物語が立ち上がっていく。

そんな一瞬一瞬を、たしかに共有できた時間でした。


中でも、今日は1年生の姿が心に残りました。今回が初めての校外での演技。大きな市民会館、たくさんの観客、絶対に墨をこぼしてはならない緊張感のあるステージ。それでも彼女らは準備から演技、片付けまで、自分の役割をしっかりと果たしました。

おそらく、これまでは緊張で表情も固かったことでしょう。けれど今日は、演技を終えたあとに1年生の笑い声が響きました。その声には、自信と、仲間との一体感と、乗り越えた証がにじんでいました。書の上達ももちろん大切ですが、こうした経験こそが、彼らを育てていくと私は信じています。初めての舞台で流した汗と緊張は、きっと彼らの“書道人生”の原点になる。今日は、その始まりの日となりました。


#竹村天祐 #大曲高校書道部 #大東文化大学 #文化部芸術祭 #書道パフォーマンス #1年生の成長#青春の一筆 #はじめての舞台



2025年5月9日金曜日

紙の向こうに

今日から県南総体が始まり、運動部は各会場へ試合に出かけている。様子を見に行ったところ、体育館が空いていたため明後日の芸術祭に向けて書道部のリハーサルを体育館で行うことにした。


狭い書道室では紙を立てたり、紙のまわりでの演出を取り入れた動きのある表現が難しい。しかし、わが校の第1体育館は昭和46年頃に完成した古い建物で、窓の多くは壊れて開かず空気の通りが悪いため非常に暑い。さらに、外ではグラウンドの造成工事が行われており、非常口を開ければ騒音が響くという状況だ。


1年生たちは、先輩たちの動きに必死について行こうとしている。彼女たちに今必要なのは、とにかく「場数を踏むこと」。


汗がにじむたびに、紙の向こうに、自分たちの物語が少しずつ立ち上っていく。

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2025年5月8日木曜日

アオハル書道! #2

このたび、秋田魁新報社が私たち大曲高校書道部に一年間密着し、その活動の様子を連載記事としてご紹介くださることになりました。そして本日、2回目の記事が紙面に掲載されました。今回取り上げていただいたのは「新入部員」。入部の動機や、活動を始めたばかりの今の気持ちが紹介されています。


また、私たちは5月11日(土)、大仙市大曲市民会館で開催される「大曲高校文化部芸術祭」に出演します。吹奏楽部の演奏にのせて、オープニングを飾る書道パフォーマンスを披露します。開演は午後1時30分。ぜひご来場ください!

 https://www.sakigake.jp/news/article/20250507AK0020/



2025年5月7日水曜日

創作の苦しみ

同じ姿勢で卒業証書を書き続けていたら、右肘がじわじわと痛み出した。整形外科で診てもらうと、「書道部なのに、まさかのテニス肘ですね」との診断。筆をラケットに持ち替えた覚えはないが、どうやら肘だけはウィンブルドンを目指していたらしい。


さらに不可解なのは、何もしていない左手の手首まで痛みだしたこと。思い当たるのは、作品を書くときに体を支える左手。意識してパーではなくグーにしていたことかもしれない。重い物なんて持ったこともないボンボン育ちなのに、宅急便の荷物を持ち上げただけで両手そろってギブアップ。何の因果かペンを握るだけで満身創痍の生活に。


もはやこれは芸術家の宿命か、単なる老化か。いやいや、創作の苦しみだ。


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2025年5月6日火曜日

卒業生のがんばり

 大曲高校在学中は書道部部長を務め、卒業後は岩手大学人文社会科学部に進学。現在4年生の仮名作品が、大阪・関西万博の関連イベント「未来へつなぐ日本の書~空・海・時を超えて~」の一環として開催される書道展「日本の代表作家展-いのち輝く未来を“書”で描く~」に出品されます。


国内を代表する書家たちとともに、次代を担う若手として選出された彼女は、平安時代の仮名文字の美しさをテーマに、日本文化の魅力を書道を通じて世界に発信していきます。


詳細は今朝の秋田魁新報22面をごらんください。


https://www.iwate-u.ac.jp/info/news/2025/04/006782.html


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2025年5月5日月曜日

書のはじまり

新入部員が入部してくれたことを受けて、夏の席書大会に向けた参考手本を書いた。今年の一年生の課題は「孔子廟堂碑」である。さまざまなご意見もあるだろうが、私は「お手本は書く派」だ。

ウチの部ではお手本の選定にドラフト方式を採用しており、それぞれが自分の書きたいものを選ぶことにしている。

もともと私は短気で堪え性がなく、学生時代から「速筆」だと先生によく注意されていた。そのせいか行草体はよく書くが、楷書は正直あまり得意ではない。

それでも、新たな仲間たちに「書の入り口」を示すのが、私の役目だと思っている。


今年の1年生は、「書道をやりたくて大曲高校に入った」と嬉しいことを言ってくれた。頼もしく、今後の成長が楽しみであると同時に、その想いに応える責任の重さを実感している。


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