2025年9月21日日曜日

実物大

 大曲高校の卒業生の方から図書館に書籍の寄贈があった。その中に拓本があり見せてもらった。旅行先で求められたものらしく、観光客向けに販売されているような品であった。しかし、それは写真ではなく、実際に取られた本物の拓本である。

 寒山寺の詩や松尾芭蕉の句など誰もが知る名文が石に刻まれ、そこから拓かれた文字が目の前に広がる。書道に取り組む者にとって拓本は稽古の友であり日常的な存在だが、こうして実際に取られた拓本を目にする機会は決して多くない。

 以前、北魏の楷書の拓本を拝見したとき、知識として「雄大な書風」と理解していたものが実物大で目にしたことで初めて「雄大とはこのことか」と腑に落ちた経験がある。今回の拓本にもまた、写真では伝わらない書き手の息づかいや、刻んだ人の意識がにじみ出ていた。せっかくなので、書道室前の廊下に掲示し、生徒たちにも「実物大」の迫力を味わってもらうことにした。

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