2021年2月26日金曜日

【書友4月号】高校生になったみなさんへ

 【書友4月号】半紙一般級位解説


 高校生になって書道部に入ったみなさん、小学生中学生から引き続き書道を続けて高校生になったみなさん、今月から「書友」は〈高校・一般の部〉に出品することになります。新しい書道の世界をご案内します。


1 書写と書道の違い

 学校では書写は学校での時間割で、何の教科の時間に学習しましたか。今まで小学校や中学校の書写は国語科で、文字を正しく整えて速く書くことを目標にして学習してきました。

 国語の時間で学習した書写に対して、高校での書道は芸術科の時間に学習します。芸術科には「音楽」「美術」「工芸」「書道」の科目があり、ここから選択できるようになっています。学校によって開講している科目が違うので、必ずしもこの4科目からの選択とはいかないことがあります。学校として全員音楽を選択している学校もあれば、音楽と書道からの選択や音楽と美術からの選択、音楽と美術と書道から選択できる学校もあります。

 これから皆さんが取り組む書道は確かに書写と用具等は同じですが、その内容は全然違います。そして、書道の目標は「自己表現」です。自分の気持ちを文字としてあらわし、筆と墨という用具で表現します。そしてそれを鑑賞することは共感することです。

2 知っておきたい書道用語

 下の書道用語はこれから書道を学ぶにあたって、よく使われる用語であるのでしっかり理解してください。そして、書道用語を使えるようにしましょう。

 「古典」古人の書いた優れた筆跡。
 「臨書」古典を手本として習うこと。またその作品。
 「創作」自らの創意工夫に夜表現。
 「落款」署名と印。
  

3 古典って何だ、臨書って何だ

 「古典」と聞くと皆さんは「源氏物語」や「枕草子」などを思い浮かべるでしょう。しかし、書道では「古人の書いた優れた筆跡」を「古典」と言います。そして、それを手本として習うことを「臨書」と言い、書いたその作品も「臨書」と言います。古典と言われるには「古人が書いた」ものであり、さらに「優れた」筆跡であることが条件です。

4 コリン星から来なくても

 書道の作品は「本文と落款(らっかん)」で構成されています。落款は「署名」と「印」です。つまり、書道の作品は「本文・署名・印」がないと完成ではありません。よく署名をせずに本文だけをお稽古をしている人を見かけます。しかし、署名も書道作品の重要な構成要素なので、1枚本文を書いたら必ず署名も書きたいものです。

 書道作品の署名は、小学生や中学生ではフルネームを書いていました。高校・一般では苗字は書かずに名前だけを書きます。苗字だけの署名はありません。そして、臨書の場合には臨書であることを示すために名前の下に「臨」と書きます。そのため、真理さんは日本人でも「真理臨:マリリン」となりますし、凛さんは「凜臨:リンリン」になります。そして、優子さんはコリン星から来なくても「ユウコリン」になります。ずぅ〜っと前、上野動物園にリンリンというパンダがいましたね。

書道あるある
 ⭐️署名のうまい人の作品はだいたいうまい。
 ⭐️印をきっちり押している人の作品はさらにうまい。

5  書道の最終目標


 なぜ臨書をするのでしょうか?
臨書の目的はたくさんあります。それぞれの学習段階や求めるものによっても目的は違います。皆さんの臨書の目的は
「よく観察するため」
「上手な筆遣いができるようにするため」
「視野を広げるため」
です。見ているようでよく見ていないのが観察です。しかし、それをお手本として書こうとするためには、一画一画隅々までよく観察しないといけません。

 そして、書道の最終目標は「創作」です。創作とは「自らの創意工夫による表現」です。臨書によりそれぞれの古典のエッセンスを取り入れ、それを自分の中で再構築して独自の書風を編み出すのです。自分の世界を切り開くため臨書は必要です。

【書友4月号】小学生の頃からこの書友の雑誌で書写のお稽古をしてきた皆さんへ。


新しい世界への挑戦

 長い間書道塾で書写のお稽古をしてきて、中学生で10段まで上り詰めた人はたくさんいると思います。そして、今までに色々な展覧会に出品して、素晴らしい賞を受賞した人もたくさんいると思います。それは大変に素晴らしいことです。

 でも、いつまでもその上にいてはいけません。それはそれです。いつまでも過去の栄光に縋り付いては成長はありません。上にも書いているように、書写と書道は別物です。過去の栄光はいったん置いといて、新しい気持ちで書道と向き合ってください。

次世代の指導者への期待

 皆さんはもともと基本的な技術が身についているので貪欲に新しい世界に挑戦しると、今まで見たこともないような書道の世界でさらに表現の可能性が無限に広がります。さらに、大学には書道科があってさらに専門的に書道を学ぶことができ、表現の幅も進路選択の幅も広がります。そして、これからの秋田県書道界や我が国の書道界をリードしてください。

 そして、昔から「書は人なり」と言われます。人間力の向上が作品のレベルを上げます。普段の生活=書道の稽古です。人生においてズルせず誠実に生きれば、作品にもそれが現れます。

継続する力

 昔から「好きこそものの上手なれ」と言います。好きなことはいくらでも続けられるし、お稽古も苦ではありません。月並みですが、自分の「可能性」と書道を選んだ「先見性」を信じお稽古してください。「継続は力なり」という言葉があります。継続することでそのものの力量は高まります。そして、「継続する」という力も身につきます。高校生から始めた書道をこれから一生続けていってください。

 そして、昔から「書は人なり」と言われます。人間力の向上が作品のレベルを上げます。普段の生活=書道の稽古です。人生においてズルせず誠実に生きれば、作品にもそれが現れます。

【書友4月号】高校生になってから書道と取り組む皆さんへ

 

心配無用

 よくぞ新しい世界へ飛び込んでくれました。ものすごく勇気が必要だったでしょう!その勇気はとてもスゴいと思います。しかし、思い切って新しい世界に飛び込んだはいいが、周りのお友達や先輩はみんな見るからに作品は上手なので、「書道なんてやらなければよかったカナ」と心配しているかもしれませんね。

 でも、何も心配することはありません。高校生の感受性と吸収力はとても素晴らしく、あっという間にみんなに追いつきます。保証します。だから、いじけたり卑下したりせず、焦らずに地道にお稽古していきましょうね。寝ない亀は早いのだから。

2021年2月10日水曜日

 美郷中学校の3年生を激励する作品が完成しました。

 縦2m横5mの作品で写真に入り切りませんでした。ちょっとヘタッピですが全力で書きました。部員は上級生が下級生にアドバイスしながら、みんなで協力して大きい作品を完成させました。気合が入りすぎて、字が少し大きくなりました。

▲完成した作品


2021年2月8日月曜日

気持ちを込めて

 コロナのために活動を制限された美郷中学校の3年生を激励するために、シンガーソングライターの栗林聡子さんが作った曲「煌めき輝く明日へ」。その歌詞を書道部全員で縦2m横5mの大きな紙に書きました。

 大曲高校書道部は書道パフォーマンスに取り組み、書道パフォーマンス甲子園本戦にも北海道東北ブロック予選を突破して出場しています。しかし、私たちの最大の弱点、それは「字が下手」。書道部としては致命的な欠点ですが、これを克服するためにいろいろな手立てを講じてきました。
 しかし、指導が至らずなかなかその成果が出ていません。しかし、同じように活動の場を失った書道部の3年生の先輩を支援したのでその気持ちだけは込めました。力不足は否めませんが、この想いだけ中学生に届けばいいなあと思います。


▲練習は図書館で廃棄になった新聞紙で





2021年2月6日土曜日

プロトタイプ完成

 昨年は新型コロナウイルスのために、いろいろな活動が制限された中学校3年生。その中学生の思いを受け取ったOGでシンガーソングライターの栗林聡子さんが、中学生を励ます曲「煌めき輝く明日へ」という曲を作りました。先日、秋田魁新報紙上では美郷中学校での「3年生に感謝する会」で、その曲でサプライズライブをした様子が報道されました。
 大曲高校書道部でも3年生が今までの努力の成果を発揮する場が突然奪われ、やり場のない喪失感をどうにかしたいと模索しました。その記事を見て「中学生も同じなんだな」と感じました。
 大曲高校書道部には美郷中学校の卒業生が4人います。そこで、栗林さんが書いた歌詞をみんなで大きな紙に書いて、美郷中学校に展示していただくことにしました。
 設計図を書いて背景の図案を考え、それを元に実物大プロトタイプ(参考手本)を書きました。清書用の紙をつなぎ合わせ、月曜日にみんなでそれに書きます。そして、15日は美郷中卒業生4人と作品を美郷中学校に届けます。












2021年2月5日金曜日

【書友3月号(令和3年)】一般半紙級位「風信帖」

 一般半紙級位の課題「風信帖」の解説をします。

 
▲3月号の一般半紙級位の課題


 9画目は原本ではあまりハッキリと書いていませんが、少し引いて書いた跡が見られます。「原本と同じように書く」という考え方と、「誰が見ても誤字にならないように補って書く」という考えがあります。今回は誰がみても誤字にならないように補って書きました。

 「霧」も10画目は微かに引いたような感じがします。そこで、参考手本には一画あるように書きました。


 「兼」の筆順は上に示しました。





2021年2月3日水曜日

いいひとアピール

 競書雑誌の読者から添削の作品が送られてきました。小学生です。とても一生懸命書いていてしかも上手で、お手紙も入っていました。そこで、お返事を書きました。



2021年2月1日月曜日

現実逃避

 急ぎの仕事があるのですが、気分が乗りません。さすが、気分で生きている私です。「やらなければ、やらなければ」ならないのですがやりたくないのです。理由は特にありません。「なんだそれ」としかられそうですが、胸がモヤモヤしていいる時に書くと、絶対間違えて書くのです。しかも、最近多いのです、誤記が。

 ということで、現実逃避をして秋田県書道連盟の小品展に出す半紙の作品「新年だよ、全印集合!」と、秀作美術展に出す半切作品「やる気モード全開の書道ガールズへ」を書きました。
 先日、文化庁のイベントに作品を出すために、書道部部員の印を刻しました。それを半紙に押しました。部員に「モミジ」という名前の部員がいいるので(上段右)。
 半切は今週部員が書く作品のプロトタイプで、試しに書いてみました。

▲新年だヨ!全印集合

▲本気モード全開の書道ガールズへ

▲おニューの印で