【釈文】
白楽天詩
六月灘声如猛雨 香山楼北暢師房
夜深起倚蘭干立 満耳潺湲満面涼
紗巾草履竹疎衣 晩下香山踏翠微
一路涼風十八里 臥乗藍輿睡中帰
六月の早瀬はすさまじい雨のようである。香山寺の高楼の北側にある暢禅師の僧坊。夜更けに起き上がり手すりにもたれて立っていると、耳いっぱいに水の流れる音がきこえ、顔一面には心地よい涼しさがただよう。
うすぎぬの頭巾、わらぐつ、竹の繊維で作った涼しい服装で、香山に避暑し、日ぐれに山の八号目を歩いて帰る。家までの十八里をあじろかごに臥して涼風に吹かれながら酔って帰るのは、なんと気持ちのいいことよ。
【制作意図】
紙が縦に長いことを利用して、王鐸の古典をイメージしながら下へ下へと連綿を多用して書き進めた。作品の根底にある避暑激しくダイナミックな文字の動きは暑い季節をあらわし、それに対照的な「涼しさ」をやや薄めの墨で表現した。暑さがあるから涼しさが生きるのであるから、動きと墨書を対照的にした。
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