今年から書道部の顧問になった同僚の先生は、もともと私とは師承が同じで中学校と高校の後輩の書道作家です。しかし、書道教員の募集がないときの採用なので、採用された教科は国語科です。そのため、「書道もできる国語の先生」です。
その先生が大きな作品を書くというので、自分で作品のサイズに合う大きい印を彫ろうと印材を買っていました。言葉の端々に「彫ってアピール」を感じましたが、私は自分がへたっぴだと自覚しているのでスルーしていました。しかし、自宅のアトリエで以前買っていた随分よさげな石がひょとっと出現し、突然創作意欲が湧いてきて印を彫ることにしました。
字を調べて印稿を作り布字してはやり直しをして、鏡に映すまでたどり着きました。一辺が5㎝の印なので小さな鏡ではよく見えなかったので、タブレットで写真を撮りそれを鏡文字に加工しました。
知りませんでした、いい印材がこんなに彫りやすいなんて。いつも部員用の印を作るときには実習用印の安価な印材でしたので、印材がいいとまるで自分がとてつもなくうまくなったようでした。完成した印は自分が見てもへたっぴでしたが、それでも私史上最高傑作でした。